また、左上の前歯（中切歯）は白い被せ物で治療されていましたが、劣化による色調不良が認められました。

前歯は口を開けた時に目立ちやすく、治療には高い審美性が要求されます。
人工ダイヤモンドとも呼ばれるジルコニアを採用することで、ただ白いだけではなく周囲の歯に調和する美しさを実現できることをご説明し、ご希望いただきました。

まず土台となる前歯を安定させるため、根の中を綺麗にして薬を詰める「根管治療（こんかんちりょう）」を行いました。
歯の内部は外からは見えませんが、被せ物の基礎となる部分であり、治療の予後を左右します。
そのため、歯の根に詰める薬は生体親和性の高い「バイオセラミック系の根管充填材（こんかんじゅうてんざい）」を使用し、歯を長く維持できるよう努めました。

被せ物の土台には、歯の根に負担をかけない「グラスファイバーコア」を選択しました。
土台の形を整えた後、仮歯である「プロビジョナルレストレーション」を装着し、歯ぐきとの調和や噛み合わせを調整しました。
また、患者様やその周囲の方々に、仮歯の大きさや形態を生活環境下で確認していただくことで、より理想に近い見た目を目指しました。

その後、精密な型取りを行い、プロビジョナルレストレーションに準じた形態のジルコニアセラミッククラウンを作製しました。
ジルコニアの表層には、様々な色のセラミックを盛り合わせることで天然歯のような色味を再現しました。

被せ物を仮着した状態でしばらく生活していただき、色合いや噛み合わせに不調和がないことを確認した後、本着して治療を終了しました。

今後は定期的なメンテナンスでケアを続ける予定です。